
二月二十五日である。
私は今、手元にある八万のJALマイルを見つめながら、まるで冷蔵庫の奥にある高級チョコレートを前にした子どものような気持ちになっている。食べれば幸せ。だが、もったいない。いや、今食べなくてもいいのではないか。そもそも本当にこれ、美味しいのか。
そんな具合である。
事の発端は、私が紹介したキャンペーンだった。
オークラ・ニッコーホテルズの会員プログラムOne Harmonyが改定される。そこで日本航空のマイルを七万、いや八万マイル交換すれば、最上位ステータス「エクスクルーシィヴ・プラス」が手に入るという話だ。
八万マイル。
おおよそ十六万円相当である。
数字にすると急に現実味が出る。十六万円。ちょっとした家族旅行ができる金額だ。冷蔵庫だって買える。いや、冷蔵庫はさすがに誇張かもしれないが、そこそこ立派な家電は買える。
それを私は、ホテルのポイントに替えようとしている。
しかも問題は、交換後の活用である。
直近の宿泊予定?
ない。
家族のスケジュール?
わりと埋まっている。
さらに言えば、私はすでにWESTERポイントで交換したシングル宿泊券とツイン宿泊券を持っている。期限付きである。期限は、いつも静かに、しかし確実に近づいてくる。
HafHのポイントもある。
マリオットのポイントも十万以上ある。
もはや私は、宿泊権利のコレクターである。
泊まらないのに。
思えば子どもの頃、かわいいシールを集めて満足し、使わずに引き出しにしまい込んでいた。大人になってやっていることが、ほとんど同じなのが悲しい。私は成長していないのだ。
八万マイルを交換すれば、五万ポイント。宿泊招待券五枚。二年間の上級会員。朝食無料。アップグレード。なんと甘美な響きだろう。
だが、頭の片隅で小さな声がする。
「本当に行くのか?」
その問いは、地味に重い。
ホテルのスイートにアップグレードされたとして、私はそこで何をするのか。結局、子どもはYouTubeを見て、私はスマホをいじり、妻は「広いね」と言って終わるのではないか。広い部屋でいつも通り過ごすだけではないか。
それに、最近は「せっかく上級会員なのだから泊まらなきゃ」という義務感のようなものも生まれそうで怖い。お得のはずが、宿泊ノルマのようになるのは本末転倒である。
とはいえ、3月23日の25%増量ボーナスという言葉を見ると、心がざわつく。「今しかない」「2万マイル節約」という文言は、人の判断力をじわじわと鈍らせる。セール会場で冷静でいられる人間は少ないのだ。
私は自分で記事を書きながら、「これはチャンスです」と背中を押し、同時に「いや待てよ」とブレーキを踏んでいる。アクセルとブレーキを同時に踏む車のようで、たいへん燃費が悪い。
きっと私は、このまま悩み続ける。
交換画面を開いては閉じ、ポイント残高を眺めてはため息をつき、期限付き宿泊券の存在を思い出して軽く青ざめる。
そしてたぶん、最後は何もしないのだと思う。
何もしないまま、「まあいいか」と言って三月を迎える。
その姿が、いちばんありありと想像できる。
結局のところ、私は上級会員になりたいのではなく、「上級会員になれるかもしれない自分」を楽しんでいるだけなのかもしれない。
八万マイルは、まだ私の口座にある。
それだけで、今は少し安心している。
使わなければ減らない。
当たり前だが、なかなか真理なのである。
やりたい人はどうぞ(合う人、使う人にはお得だと思います)
→【2026年2月~3月】JALマイル交換でOne Harmony最上位へ!8万マイルで「エクスクルーシィヴ・プラス」と宿泊招待券をW取りする裏技 - ポイント投資の攻略ブログ
ちなみに、JR西日本のWESTERポイントもホテル交換と相性が良いと思うのでおすすめ。特に西日本エリア。
→ WESTERポイントのお得な貯め方と使い方、交換ルート解説 ポイント特典きっぷやホテル宿泊券がお得